・物流業界はどんな仕事をしているの?
・物流業界だったら海外いけるの?
・商社落ちたから海外に行ける物流業界を狙ってる
このような人達に物流業界の内情を解説しようと思う。
読後は自分が物流業界にマッチするかしないか判断できるんじゃないかな。
ちなみに俺は物流業界で事務系総合職として13年間務めたぜ。
やってきた仕事内容はこんな感じだ。
・内航船代理店業務
・船内荷役監督業務
・倉庫管理業務
・配車業務
・メーカー構内常駐
・輸出入管理業務(貿易)
・通関業務
これらの仕事に興味ある人には刺さる内容になるはずだ。
まあ俺は最終的に色々シンドくなって辞めたんだけど、説得力のある内容は書けると思うので最後まで読んでみてくれ。
あと、この記事で想定している会社は総合物流企業を想定している。有名どころだと日本通運とか山九とか日新とか各種財閥倉庫とかの幅広くやってる物流会社のことな。俺がいた会社もこれに当てはまる。どことは言わんが。
JR貨物・船会社・宅配業者などは同じ物流といっても全然毛色が違って参考にならないと思うのでブラウザバックを推奨する。
では本題に入っていくのだけど、脈絡もなく俺の好きな順番で書くから、目次から読みたい見出しに飛んで読んでもらえれば良いよ。上から順番に読んでいく記事ではないってことね。
※独断と偏見にまみれた内容なので他サイトも読んで判断してくれ。ここまで物流の内情を語ってるサイトは見当たらなかったけど。
総合物流企業への就職はアンマッチが普通
総合物流企業の就活事情で一番深刻なのは新入社員のアンマッチ率の多さだ。これは要するに新入社員が思い描いていたものと実際の仕事内容が乖離し過ぎているということだ。
なぜこんなことが起きるかというと、海外志向脳内お花畑就活生ちゃんの存在とそいつらを騙す会社側に原因がある。
総合物流企業っていうと大体は海外進出もしているから、就活生は「グローバル」とかいう華やかな言葉に憧れを持って入って来てしまう。海外を飛び回って華麗に仕事して、退社後はお洒落なカフェやBARで一杯キメてやるぜなんて妄想が透けて見える奴らだ。
こういう奴らが、海外進出をしている会社への就活生の内、実に8割を占めている。就活生のほとんどが海外行きたいとか言ってる奴ばかりなんだな。
(俺からすると、海外は旅行で行くものであって、仕事で行くと地獄なんだけどな。そこを勘違いしてるお馬鹿学生が多過ぎる。)
そして、それを分かってる会社の人事は、そいつらに「海外」を推しまくるんだ。
「うちに入ったら君たちの大好きな海外に行けるよ(ニコッ」って具合で。
なんでこんなことをするかは分かるよな?人が欲しいからだ。
そして、海外行きたいとか言ってる奴はまあ外国語ぐらいはそれなりにできるから、一応海外進出してる会社側も欲しいと言えば欲しい人材なわけだ。
ただ注意して欲しいのは、入社してから海外に行く条件としては外国語が喋れるとかいうことより「メンタルが鬼のように強い」か、「死ぬ気で仕事をやってる」か、このどちらかを超重視する。海外で仕事をするってのはそれほど過酷なんだ。
それも、海外旅行みたいに好きなところに行けるわけじゃない。ほとんどの海外志向就活生は欧米での勤務を想像しているが、どの企業も力を入れているのはアジア地域だ。
で話を戻すと、会社としては脳内お花畑で親の仇のように海外に行きたいと言ってる人種が大量にいるからそいつらを取って、その中からメンタルが鬼のように強い奴か死ぬ気で仕事やってくれる奴を海外勤務に選ぶ。当然、10年ぐらい国内で物流を叩き込んでからな。それに漏れたら国内勤務だ。
しかも外国語ができるかどうかは然程重要じゃない。だって通訳雇えば良いだけだもの。
外国語を喋れるってのは、通訳を雇うコストを削減できるメリットしかないんだ。
ちょっとグダグダと長くなったが、まとめると会社は「海外」を餌にしているだけ。「海外」というキーワードは客寄せパンダだ。
だからアンマッチが異常に多い。騙されて入社した海外志向脳内お花畑ちゃんは面白いぐらいガシガシ辞めてくぜ。
それでも現実を受け入れて残る奴も一定数いるから、まあ会社としては御の字だ。そいつらは外国語も喋れるからまあ何かの時に役に立つしな。
それに、どうしても海外で仕事したいなら最初から海外の会社に入社しろって話だぜ。日本の企業に所属しておいて、都合の良い時に都合の良い国に行きたいなら海外旅行で行けってこと。
しかも海外志向脳内お花畑ちゃんって、大体は大手商社を落とされたやつなんだ。ほぼ100%と言って良いぐらいな。商社落されても海外に行く子供みたいな夢を追いかけ続けて、物流会社に騙されて入ってしまうという悲しい構図だ。
あんなに憧れていた海外生活ってのは、実は生半可じゃない努力を積み重ねた人じゃないと無理だってことに入社してから気付くわけ。大手商社に入れる奴なんて能力と元気の塊の化け物揃いだからな。
というわけで、総合物流企業はアンマッチが非常に多いんだ。
物流の仕事内容
この記事で解説できる物流の仕事内容は俺が経験したやつに限るぜ。やってもない仕事を中途半端に説明しても読んでくれる人に失礼だからな。
解説する仕事内容は冒頭でも述べたが下記の7つだ。
・内航船代理店業務
・船内荷役監督業務
・倉庫管理業務
・配車業務
・メーカー構内常駐
・輸出入管理業務(貿易)
・通関業務
それぞれ簡単に説明していく。
内航船代理店業務
内航船代理店業務というのは、簡単に言えば国内を航行している船の身の回りのお世話をしてあげる仕事だ。例えば下記のような業務がある。
・入港届
・出港届
・錨地申請
・綱取り手配
・岸壁使用申請
・荷役立ち合い
一つ一つ説明すると鬼のように長くなるので省くが、特徴としてはどれも手配をミスったら海上保安庁に顛末書を出すぐらいヤバイ仕事ってこと。絶対にミスができない。ミスったら極端な話、船と船が衝突するような事故が起きて責任を取らされる。
ちなみに俺は入港届と錨地申請をやり忘れて海上保安庁に顛末書を2回提出し、その後仕事を干された苦過ぎる経験がある。ケアレスミスの多い奴がやってはいけない仕事なわけね。
あと辛いのが船が夜中に来て作業する時も起きてないといけない。時間がズレたりしたら綱取り手配も変えないといけないからだ。これも辛かった。
この仕事の良いところは、自分の手配で無事に船が岸壁に着岸した時の安堵とダイナミックさだな。内航船と言えども馬鹿デカイし、その船の中に入って荷役時間や出向時間等の船長と打合せもする。俺スゲーって思ってたのを覚えてる。
何度も言うが最終的に干されたけど。
船内荷役監督業務
船内荷役監督業務というのは、船の貨物の荷役をする仕事だ。フォアマンと言ったりもする。
仕事内容は、監督として荷役作業設計をして、実際に荷役が始まったら船の上で荷役を見張って、問題が無いか、終了時間はどうかを管理する。これもキリが無いので細かいことは省かせてもらう。
俺はこのフォアマンに憧れて入社したくちなんだ。作業服にヘルメット、脚絆で港に立つ頭良い奴ってイメージが格好良かったのよ。実際は船乗りや港湾作業員の荒くれ者達と仕事をしていけるような力強い男じゃないと無理。
外航船だと乗組員全員外人だからな。英語が喋れないとまあシンドイ。英会話はできなかったので身振り手振りでやるしかなかった。
当時色白でヒョロヒョロだった俺にはまあ辛かった。というか物流の仕事って基本辛いのよ。気合と根性みたいの多過ぎて。あと俺の場合、船の上で荷役が終わるのを待っている時寝てしまってな、向いてなかった。
そういうわけで、船内荷役監督業務は強い奴じゃないと無理ってこと。
倉庫管理業務
倉庫管理業務ってのは、要は倉庫の事務仕事だ。
倉庫は貨物を保管してるだけの倉庫番でラクでしょ?って思うやつはやめといた方が良い。
物流会社の営業倉庫は貨物を入庫し、出庫しないと稼げない。保管してるだけじゃ儲からないんだ。つまり在庫回転率が高い貨物ばかり誘致して置いているってこと。
これはどういうことかというと、大量に複数の貨物を入庫してちょっと保管して速攻で出庫していくのを繰り返しまくっているわけ。倉庫の規模にもよるが、大体はフォークリフトが倉庫内外で10台とか20台「ブオオオオオオオオッ」と動きまくっている戦場みたいなところだ。
そうなると事務所も凄い。こっちも同じく戦場。
・入庫伝票や出庫伝票を大量に印刷してそれを捌く
・受付にはドライバーが大量に来る
・現場から無線で呼ばれまくる
・お客さんから死ぬほど電話が掛かって来る
・事務員も全員殺気立って叫んでる奴もいる
これが毎日続く。
例えるなら、映画「プライベートライアン」の上陸シーンに似てる。結構マジで。
糞うるさい環境でも冷静でいられて、マルチタスクが大得意じゃないと続かない。俺は何人も辞めていくやつを見届けてきた。
特に、最初にも言った海外志向脳内お花畑ちゃんの退職率は半端ない。
「海外行きたい~♪」と言って入社したらこんな戦場みたいな地獄に放り出されるわけだ。
倉庫の事務所なんて大体は汚いぜ。テレビなんかで見る外資系お洒落企業のオフィスとは大違い過ぎ。現場の作業員も基本的にはヤンキー上がりがほとんど。軽作業専門スタッフはどこの馬の骨かも分からねえ奴ばかり。
そりゃ辞める。
配車業務
配車業務は読んで字のごとし、トラックを手配する仕事だ。これ、厳密には2種類あって、単純にトラック会社に1案件ごと輸送を依頼するだけのパターンと、自社トラックや専属の庸車をあてがわれて自分で運行設計するパターンがある。
前者は正直ラクだ。
後者は地獄の中の地獄。
おそらく社内でも一番地獄。
逃げ出したくなるほどに。
ちなみにゲロ吐いてる配車マンを何人か見たことある。
例えばその日出庫する貨物が15時に最終確定し、用意したトラックが30台あるとする。それを向け先ごとや物量ごとにどのトラックに当てがわせるか、絶対に間違えてはいけない高度なパズルを一瞬でやらないといけない。
しかもトラックが足りなければすぐに手配しないといけない。これ無理ゲーなのよ。逆にトラックが余れば貨物をどこかから探してそのトラックにあげないといけない。
さらに大体トラックの運転手なんて荒くれ者揃いだ。配車マンと運転手の喧嘩なんてしょっちゅう見る。
やってる仕事の内容からすると年収1,000万円以上貰わないと割に合わない。まあその代わり物流会社の中では花形業務と言われるんだけどな。実際、アホじゃ務まらない。相当頭の回転が速くないと無理な仕事だ。そして仕事の内容を知ってる奴は誰もやりたがらない。
メーカー構内常駐
メーカー構内常駐ってのはまあ色々なんだが、よくあるのがメーカーの中に入り込んでフォークリフト作業などの荷役業務全般を請け負ったり、受注業務をやったりするんだ。
常にお客さんの目に触れているから緊張感はあるのだが、メリットとしてはメーカーの社風や勤務形態を享受できるところにある。
物流会社は基本的に気合と根性でどうにかしろなんてところがほとんどだが、メーカーはそれに比べクールな社風が多い。勤務時間も完全ホワイトで、常駐している奴はそのメーカーで働いているかのように振舞える。一言で言えばラクなわけ。
(メーカーや契約条件によるかもしれんが、俺の経験上ね。)
事実、先に挙げた倉庫や配車で音を上げた奴をとりあえずメーカー構内に飛ばすなんてことはよくあった。
輸出入管理業務(貿易)
輸出入管理業務は、お客さんの貨物の輸出や輸入の段取りをしてあげる仕事だ。乙仲業務とか海貨業務と言ったりもする。
これ、就活生が勘違いしている代表的業務の一つだ。「海外と関われる~♪」なんて意気揚々と配属されて、半年後には大体辞めていく。
港湾が絡む仕事なんて大体は泥臭いんだぜ。あとこの業務はなんといっても残業が多くなりがちだ。終電なんて当たり前の世界。
というのも海貨仕事の利ザヤなんてコンテナ運送料や取扱料でしか取れないから人件費を抑えるしかないからだ。(物流業務全般が利益率激低なんだけどね。)
港湾独特のルールや、保税知識、他法令知識など覚えることが多いのも特徴だ。知識部分については倉庫や配車の方がラク。
一応簡単に代表的な輸出と輸入の業務フローを書いておく。
<輸出>
・本船ブッキング
・輸出書類入手
・空コンテナ手配
・通関手配
・バンニング手配
・コンテナドレージ手配
・船積み書類作成
・コンテナヤード搬入
・B/L発行
<輸入>
・輸入書類入手
・本船入港日確認
・船会社に入金
・B/L差し入れ
・D/O交換(D/O LESS処理)
・通関手配
・コンテナドレージ手配
・デバンニング手配
会社にもよると思うが、どこもこんな感じの案件を一人で10個20個持っていて同時並行で進めていく。瞬間的なマルチタスクではないが、案件の管理能力が無いとどれをどれだけやったかマジで分からなくなる。これもやっぱりアホだとできない。
まあ物流業務全般に言えるんだが、大量の案件を糞うるさい事務所内で素早く正確に処理できないと無理なので、HSPや発達障害持ちだと地獄を見ることになる。学生時代のうちに自分の特性を理解して、HSPや発達障害を持っているなら物流業界は絶対にやめた方が良い。
ゆったり仕事ができる管理部門に空きがあれば良いが、無ければ100%退職に追い込まれる。これはもう経験上の事実だ。
通関業務
通関業務も就活生が勘違いしやすい仕事だ。なんだか華やかイメージを持ってるかもしれないが、現実は書類と電卓と条文の睨めっこで一日が終わる。分かりやすく言えば、腕カバーを付けた眼鏡のおばちゃんがずーーっとパソコンを「カタカタカタカタカ」ってやってる感じな。
関税法の条文を読み解く頭と、注意力と集中力が超人並みじゃないとゲロ吐いて倒れると思う。
輸入の関税計算を間違えたら大惨事という、危険とも隣りあわせだ。
俺は配車業務はやりたくなかったがそれと同じレベルで通関業務もやりたくなかった。
物流2大やりたくない業務の一つ。
ただ、配車も通関も、極めれば転職は容易ではある。それだけ市場価値が高い業務だ。
もし物流会社に就職して転職したくなったら
というわけで、海外志向ブリブリで物流会社に入社しても望みは叶わないかもしれない。そんな時は20代ハイエンド層向けの転職エージェントがあるから、ここに登録しておけばそこそこの会社には転職できる。
そこらの転職サイトだとしょうもないところしか行けないから注意な。
リンクを貼っておくぜ。
まあ頑張ってくれよ。
あと物流業界を知るための本も紹介しておく。
ではまた!